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千分の一話噺

第635章 道化師


今夜はハロウィン…。
街中のあちこちで大の大人が仮装してばか騒ぎしている。

その中でも特に人の多い渋谷の繁華街。
ネットで話題になり、テレビの取材も受けた事がある有名人、道化師のK氏が現れ辺りは騒然となった。

「あれ道化師のKだろ?本物かな?」
「コスプレなんじゃない?」

常に派手な衣装とメイク、駄洒落や滑稽な動きで笑いを振り撒くK氏。
だがしかし、K氏の素顔を知る者は誰もいない。

何処からともなく現れ、人々を笑顔にすると、何処へともなく去っていく。

情報社会の現代にあって、全く素性が得られない都市伝説的な人物になっていた。

「僕の正体?そうですねぇ~
謎な方が面白いでしょ♪
何でも分かっちゃう世の中って、つまんないと思わない?」
K氏はそう嘯《うそぶ》くと、人混みに消えて行く。

いつどこに現れるかも分からない。
有名なイベント会場から超田舎の祭りにまで顔を出す。
たくさんの人を笑顔にすると、誰にも知れず消えてしまう。

後を付けたファンも数多くいたが、全てまかれて誰も彼の正体を暴けなかった。
「いつの間にか見失った」
「あんな派手な恰好が見つからない」
狐に抓《つま》まれた様な話ししか出て来ない。
しかもK氏が参加したイベントでは、必ず誰かが行方不明になる。


「僕の後を付けても良いけど、安全は保証しないよ
僕は道化師の世界から来てるんだからね」
K氏はニヤッと笑うとおどけたフリをしながら人混みに消えていった。


彼は道化師、人を笑顔にする事を生き甲斐にする謎の人物。


end

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