第628章 開運
「や、やったぁ~!!!」
俺は宝くじの番号を何度も何度も確かめた。
間違いなく一等三億円の番号だ。
「これだけあれば、こんなブラック企業ともおサラバだ」
俺は上司に今までの鬱憤をぶちまけ、辞表を叩きつけた。
「あぁ~スッキリした!」
しかし、これを拾ってからなんかツイてるな。
パチンコやれば大当たりが連発するし、初めてやった競馬で万馬券が当たったり、懸賞で車が当たったり…で、今回の宝くじだ。
これさえあれば…。
一ヶ月くらい前、変な夢を見た。
『私を解放してくれるなら、あなたの望みを叶えてあげましょう…』
その後も何か話していたのは覚えてないが、近くの神社の裏側にある小さな祠《ほこら》が見えた。
翌日、何となくその神社に行き、裏側に回ったら夢で見た祠があった。
ぼろぼろな祠の中には緑色の小さな石があった。
「これ…勾玉《まがたま》ってやつか?
解放しろって事はここから持ち出せって事だよな」
俺は勾玉をポケットに入れ、試しにパチンコ屋へ行った。
「さて、望みを叶えてくれるのかな?」
当たるなんて思ってなかったが、すぐに大当たりが連発して鳥肌が立った。
「…マジか?」
それからはツイてツイてツキ捲った。
「はははっ!笑いが止まらないってこういう事か!」
『…ただし、すぐに新しい祠に移して下さい
五十日が過ぎるとあなたに災いが降り注ぎます』
緑色だった勾玉は赤黒く変わり始めていた。
end