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千分の一話噺

第622章 異世界アパート22


夜になっても、まだ蝉時雨が止まない。
「熱帯夜だから蝉も寝れないのね」
「祭りで騒がしいからじゃない?」
私と涼子はレンタルの浴衣で夏祭りに出掛けた。
会場には屋台の定番、かき氷や焼きそば、金魚すくいやヨーヨー釣り…。
更には地元の店の出店も並んでいる。
「スイカ食べよ!」
涼子が地元果物屋の出店を見つけた。
スライスされた種無しスイカや黄色いスイカなど産地別のスイカを食べ比べ出来る。
「へぇ~、スマホ決済出来るのね」
時代はキャッシュレスなのよね。


異世界《グランロールス》では未だに金貨、銀貨、銅貨が使われていて大金となると重いのよ。
お金だけじゃなくて、ハチミツなどの貴重な物になると物々交換も可能だ。 
特に街の外から来た人達は、まだお金より物なのよね。


そんな事を考えながら祭りを楽しんでいると、ポツリポツリと雨が降ってきた。
「ヤバい!ゲリラ豪雨よ!」
涼子がスマホのお天気アプリを見て、私の手を引いて走り出した。
すぐ近くにあったカフェに飛び込む。
店に入るとすぐにどしゃ降りの雨…。
「涼子、助かったわ」
「じゃあ、このシュークリームは綾子のおごりね」
涼子は抜け目がない。


抜け目がないと言えば、ナタリーはカタリナによく振り回されてるけど、その後には必ず何かおごらせている。
「だって、お姉ちゃんの目が怖いんだもん…」
有名冒険者でもあるカタリナを怖がらせるナタリーは、本当はめっちゃ強いのかも…。

そうだ、シュークリームお土産に買って帰ろう。


end

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