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千分の一話噺

第618章 調律


「行ってきま~す!」
今日は夏休み練習の初日、芳子と一緒に学校へ向かった。

「加菜恵、宿題やってる?」
「練習ばかりしてるから全然やってないよ…」
秋の大会に向けて、今が一番大事な時だ。

「じゃあ、今日練習終わったら一緒にやらない?」
「それ良いね!二人でやれば早く終わるかもね」
宿題を早く終わらせれば、それだけ練習に時間が取れる。

「ねぇ、ちょっとコンビニ寄ってオヤツ買ってこうよ」
「先生に見つかったら怒られるよ」
「先生がくる前に食べちゃえば怒られないよ」
そう言い訳してコンビニでシュークリームを買った。

音楽室に入るとみんな揃っていた。
「加菜恵、芳子、遅いぞ」
部長にそう言われたが、集合時間までまだ15分もある。

先生がくる前にシュークリーム食べちゃおうと思って出したら、先生が入ってきた。
「皆さん、次のコンクールで演奏する課題曲の練習をします
準備して下さい」
私はシュークリームを頬張りながらバイオリンをケースから出した。
「そこ!物を食べながら楽器を扱わない!」
先生に叱られてしまった。

しかし、大好きなシュークリームは食べたい。
でも、バイオリンの調律もしないといけない。
「う~、もっと味わいたかったけど仕方ない…」
とりあえず、食べ掛けのシュークリームを口に押し込んで呑み込んだ。

バイオリンに限らず、楽器は温度や湿度で微妙に音が変わる。
だから毎回調律しないといけない。
しっかり練習して次のコンクールでは納得出来る演奏がしたい。
「よし!頑張ろう!」
最高の演奏をするために…。


end
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