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千分の一話噺

第62章 誕生日


いつからだろう?僕は他の子たちと違うと思うようになったのは…。


確かにみんなと四年間過ごした筈なのに、僕だけ三年前に戻ってしまう。

そう、誕生日を迎えると四年間が一年に置き換えられてしまうのだ。
僕は十歳の身体をした四十歳の子供だ。


学校のテストは常に満点、他の知識も大人並、しかも予知まで出来る『神の子』とまで言われた。
それは当たり前と言えば当たり前だ。
誕生日が来れば、僕は常に三年先が分かっているのだから…。

初めはちやほやされて良い気分だったが、だんだん周りの目が怖くなった。
両親でさえも恐る恐る接する様になった。
考えて見れば、中身はもう両親より年上になっているのだから…。

それでも僕には大切な両親だ。
だから、いつからか子供を演じる様になった。
テストをわざと間違えたり、予知も家族の命に危険がある様な事以外は喋らない様にした。
ただ、三年後が初めと違う結果になる事もある。


こんな事、誰にも話せない…。
例え話しても誰も理解出来ないだろう。
そして僕は何歳まで生きれるのだろうか?
二十歳になれば中身は八十歳だ。
そこで寿命になるのだろうか?

また誕生日が来る。
四年に一度の閏日が…。


end
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