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千分の一話噺

第604章 父の日には…


うちの父の日はちょっと変わっている。
普通は、父親を労う為にプレゼントを送ったりすると思うのだが…。

「明日は俺に任せとけ!」

父の日には父が張り切って家事をする。

いつからこうなったのか?定かではないが、私が物心ついた時にはこうなっていた。
母の日はどうかと言うと、やはり…

「明日は俺に任せとけ!」

と、なっている。

おかしいと気付いたのは小学校に行き始めてからだ。
「父の日にプレゼントを…」と言われてもピンとこなかった。
友達にもおかしいと言われて、母に「何で?」って聞いた事がある。

「お父さんの好きにやらせてあげてるんだから良いのよ」

そう、うちの父の日は父が何でも好きに出来る日になってる。
普段の休みの日は、一日中何もしないでゴロゴロしてるのに、普段母がやっている家事のほとんどをやってしまう。
「晩御飯はオムレツだ!」
父が唯一出来る料理だ。
「朝も昼もオムレツだったよ」
私が嫌みを言っても他の料理を覚える気はない様だ。
「俺のオムレツは何度食べても美味いだろ?」
父のこの自信はどこから来るのか?、でも父のオムレツは好きだから良いんだけど…。

予告通り晩御飯はオムレツが出てきた。
「さあ、召し上がれ!」
朝は卵だけのオムレツ、昼はチーズ入りのオムレツ、夜はお肉と野菜入りのオムレツだ。
父なりに工夫している。

「それとお前にはこれ、お母さんにはこれだ」
父からプレゼントを渡される。
私にはお小遣い、母には…。

「これって…真珠?」
「20回目の結婚記念日だからね」

私は二人の子供で良かったと思った。


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