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千分の一話噺

第588章 社長のアイデア


我が社はまだまだ規模は小さいが、品質には自信がある。
営業部は売り上げアップの為の企画会議をしていた。

そこに…。
「みんなちょっと見てくれ!」
社長が営業部に飛び込んで来た。
「社長!?…どうしたんですか?」
営業部長が慌てて立ち上がる。
「いいから、これを見ろ!」
社長はパソコンの画面をみんなに見せた。




『ニャンコ~3分クッキング』

行進曲の様なテーマソングに合わせて、我が社の猫のキャラクターが踊る。

今日はデコポンを使ってサラダを作ります。

デコポンは薄皮を剥いておきましょう。
アボカドは一口大に切り、レタスは適当な大きさにちぎって、塩で揉んでおいた輪切りキュウリと千切り人参と合わせて、たっぷりのニャンコ~マヨネーズで和えて出来上がりです。

今夜はニャンコ~マヨネーズでご馳走よ!




「これをネットに上げれば売り上げアップ間違いなしだ!」
社長は拳を握り締めた。
「あの~…社長、これはちょっとまずいですよ!
まるっきりパクりじゃないですか!?」
営業部長は頭を掻きながら突っ込んだ。
「パクりじゃない!パロディと言え!」
社長は堂々と胸を張る。
「訴えられます!絶対に無理です!我が社を潰す気ですかっ!」
温厚で知られる営業部長がマジ切れした。
「そ、そこまで言わなくても…」
さすがの社長もたじたじだ。

「…でも、このオープニングは使えませんが、レシピの部分は十分使えるんじゃないですか?
デコポンのサラダなんてアイデアは面白いですよ」
営業部員の一人がフォローを入れた。
「そうだろ!デコポンは私の故郷の名産なんだ!
このアイデアは私が考えたんだぞ!」
サラダに柑橘類を入れるのはよくあるレシピだが、誰も突っ込めなかった。


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