第584章 異世界アパート18
突然、グランロールスに現れた風来坊、双剣のゼクス。
そして、私の知らないカタリナの本当の姿。
何故か注目されてしまった私。
あれから数日経ったが、ナタリーの店にはカタリナのファンが来るようになった。
お客が増えるのは良いんだけど…。
「あなたが深紅のカタリナ様の相棒ですか?」
すっかり私がカタリナの相棒になっていた。
目をキラキラさせて、まるでスターやアイドルを見る様な眼差しで私に質問する。
「えっ?…あの…その…」
もう私の頭の中はぐちゃぐちゃでパニック状態だ。
「アヤコはカタリナの相棒じゃないわよ!」
ナタリーが助け舟を出してくれた。
「接客は私がやるから、しばらくキッチンでクレープ焼いてて…」
「え?…あ…う、うん…ありがとう…」
クレープは最近私が持ち込んで、店で売り始めたら大好評となってしまった。
作り置きが出来ないので、注文を受けるとナタリーが焼いている。
ナタリーと代わってキッチンへ入ると…。
「アヤコを出せ!」
聞き覚えのある声が聞こえた。
「誰よ!?あなた!?」
ナタリーが対応する。
「俺は双剣のゼクス、アヤコに渡したい物がある」
あの風来坊が私に渡したい物?
私が顔を出すと…。
「これをやる!」
ピンク色したサボテン?の鉢植えを差し出された。
「これって?」
「陸珊瑚だ
精霊の森で採ってきた物だ…
カタリナからアヤコが欲しがっていると聞いたから持ってきた」
ゼクスは少し照れてる様に見えた。
「あ…、ありがとうございます」
そう言えば以前、ナタリーにサボテンの事を話したけど、まさかこんな形で貰えるとは…。
「じゃあ…ま、また来てやる」
ゼクスはクレープを買って帰って行った。
「何なの?あれ?」
私が首を傾げると…。
「ふ~ん、アヤコに惚れたわね」
ナタリーがニヤニヤとして私を見た。
「え?…えぇぇぇぇ!!」
まさか私なんかに…。
ワイルド系のイケメンって感じだけど、異世界の人と付き合うとか考えた事なかった。
もしかして結婚って話になったら「国際結婚」になるの?
end