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千分の一話噺

第582章 超重量級


バレンタインが近づくと、女子はそれなりに準備を始める。
「葉月、今年はどうすの?」
親友の智子が聞いてきた。
「う~ん…和樹さんには手作りチョコでもあげようかと…」
「えっ!?ないない!
あの鈍感男に手作りチョコなんて猫に小判だよ!」
智子が両手を大きく振って大袈裟に否定した。
和樹さんは智子の兄でもあるから、私より和樹さんの事を知っている。

「でも、何で今年は手作りなのよ
いつもは普通に買ってるじゃない?」
「だってバーゲンで大量にチョコ買っちゃたチョコから…」
チョコ好きな私でも食べきれないくらいのチョコを買ってしまった。
給料日の後だった事もあり、冷静になれば我ながらアホだと思う量だ。


出来るだけ大きいハートの型を使い溶かしたチョコを流し込み手作りチョコを作った。
それでもまだまだチョコはある。
「…重ねちゃお!」
更に二枚作り溶かしたチョコを挟んで重ねて超重量級のハートチョコが出来上がった。
「ちょっと重いかな?…いろんな意味で…」
しかし、智子も言うように和樹さんはかなり鈍いからこれなら気持ちも伝わるかも知れない。

バレンタイン当日。

「和樹さん、これ…」
可愛いラッピングはしたけど、両手にずっしりとしたチョコを渡した。
「ありが…とう?
…何でこんなに重いの?」
その重さに和樹さんは首を傾げる。

「えっと…、付き合い始めて五年目だから大サービスよ」
私は笑顔で誤魔化した。


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