第581章 追跡
『銀行強盗犯は富士山に逃げ込んだ模様…
近くの捜査員は至急、現地に向かって下さい』
「近いよな…俺達…」
「…何でこんな日に富士山に逃げ込むんだよ?
遭難したら死ぬぞ」
俺達は顔を見合わせて溜め息を吐いた。
銀行強盗犯はパトカーに追われ、富士山五合目まで車で逃げて、そこから車を捨てて山に入った様だ。
「雪があって良かったな」
「どこが良いんだよ?」
俺は相方を睨んだ。
「足跡がある」
「………分かったよ」
俺達はその足跡を追った。
追いかけているうちに雪が降り始めた。
「雪か…まずいな…足跡が消えるぞ」
「はあ…今日の占い、良くなかったんだよなぁ」
朝のテレビで流れる占いを思い出した。
「あぁ…今朝、布団から出るんじゃなかったな」
「恨むなら犯人を恨め」
相方は足を早めた。
雪がだんだん強くなってきた。
「…こんなに寒いと鍋焼きが食べたいな」
「こんな所にうどん屋はないぞ」
「分かってるよ…
山降りたら鍋焼き食べに行こうぜ」
「…犯人捕まえたらな」
俺達は吹雪になった中、犯人を追いかける。
「警察だ!止まれ!」
しばらくして犯人を発見した。
俺達に気付くと犯人はすぐに木の陰に隠れた。
「無駄な抵抗するなよ!
痛い目見ることになるぜ!」
相方は銃を抜いて構える。
「うっ!撃つなっ!
降参する!降参する!」
犯人は両手を上げて出てきた。
俺は犯人に手錠を掛けた。
「さあ、鍋焼き食いに行こうぜ!」
end