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千分の一話噺

第58章 白い影・前編


見渡す限り一面の銀世界。
一人の少女が佇んでいる。

白い薄手の生地で出来た衣服を纏い、透けてしまいそうな白い肌をした少女は、まるで雪と同化しているかのようだ。
ただ、漆黒の髪だけをなびかせていた。

深々とした銀世界、少女はまるで深い眠りについているかの様に目を瞑り微動だにしなかった。
誰かの目に触れれば消えてしまうかの様な儚さと、見るものの目を奪うかの様な美しさが、その場を支配していた。




俺は寒さも忘れ、ただ茫然と立ち尽くしている。
目の前の非現実的な少女…。
(どうする?声をかけた方が良いのか?見て見ぬ振りするか?
いや待てよ…これって人形なんじゃないか?
人間がこんな薄着で雪の中なんて無理だよな…
まさかドッキリか?こんな田舎で…有り得ねぇ…
朝っぱらから幽霊のわけねぇし、宇宙人だったらどうする?
でも、こんな美少女の宇宙人がいるはずねぇよな…
だったら何者だ?
分かんねぇ…)
自分の知識を超えた少女に自問自答が止まらなかった。

その時、ふと少女の瞼が開いた。

一面銀世界となった畑道の真ん中で、奇しくも俺と少女は見つめ合ってしまった。
髪と同じ漆黒の瞳がじっと俺を見詰めている。
(こ、こいつ、何考えてんだ?)
俺が目を逸らそうとしたら、少女はニッコリと微笑んだ。


to be continue
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