第566章 とある依頼
俺達の工房に依頼が舞い込んだ。
しかしそれは…。
「ん?、なんだこれ?」
図面を見て、俺と相方は顔を見合わせた。
見たこともない部品と、とんでもない精度がそこに書かれていた。
「こんな精度…、ロケットでも作る気か?」
「まあ、こんな精度の部品はうちでしか出来ないだろ?
頼むぜ、隼人!」
相方の拓人が俺にウインクする。
「お前なぁ…」
拓人は工房の営業兼設計士、俺は加工製作を担当している。
大量生産では出来ない高度な加工と精度の製品がうちの持ち味だ、
「…で、これは何の部品なんだ?」
俺の場合、図面通り部品を作るには、出来上がりの製品のイメージが大事になる。
この部品が、車になるのか?飛行機になるのか?そのイメージがあるのとないのとでは何故か製作時間が大きく違ってくるのだ。
「それがな、どうしても教えてくれないんだ…」
拓人が首を横に振る。
「まさか、それで引き下がったのか?」
「ふっ…そんな初心者《うぶ》じゃねぇよ
まあ、守秘義務付きだけどな…」
そう付け加えてから…。
「こいつは日本初…いや世界初の星間航行宇宙船になる」
衝撃の答えだった。
「宇宙船だとっ!?
嘘だろっ!?」
「声がでけぇよ…守秘義務だって言ったろ?
こいつはその宇宙船の心臓部に使われるパーツだ…
寸分の狂いも許されねぇ
カウントダウンまでに最高のもんを作ろうぜ!」
拓人が拳を突き出す。
「あったりめぇだ!」
拳を合わせ、この難関依頼に挑む。
end