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千分の一話噺

第57章 風に舞う


ある休日、天気が良いので散歩に出た。
近所を歩きながら、新しい店を発見をしたり、駅までのちょっとした近道を見つけたりした。

ある庭先で焚火をしているのが見えた。
今時珍しい。
子供の頃はそこかしこの庭先や公園でも焚火をしていたが、最近は庭がある家も少なくなり、しかも何かとうるさくなって、すっかり見かけなくなった。

焚火にあたっているのは老夫婦と、小さな子供は孫だろうか。
何やら楽しげに話しをしている。
笑顔が微笑ましい。
しかし、あの子が大人になった時に焚火なんてやっている人はいるのだろうかとふと思う。

子供の頃は何も考えず、ただ焚火にあたり、暖をとったり焼き芋を焼いたりしていた。
あの頃が懐かしい。
焚火の周りではみんなが笑顔にだった。


そんな事を考えていたら、目の端にちらりと白い物が映った。

見上げると風花が舞い踊る。
「にわか雪?」
手の平に落ちると溶けて小さな水滴になった。
冷たい風が吹き出した、冬晴れの日だった。


end
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