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千分の一話噺

第554章 湯けむり盗難事件


「警部、目撃者の証言では、犯人は白い眼帯をしていた様です」
「眼帯か…
まずいな、そんな目立つもんしてたら目撃証言は当てにならないぞ」

紅葉もあって賑わう温泉街で連続窃盗事件が起こった。
客が温泉に入ってる隙に客室を荒らす手口だ。
駆り出された俺達は目撃証言を集めていた。

「他にないのか?」
「みんな、眼帯に気を取られ他の特徴は…」
「…そうなるよな」
人間の記憶力などいい加減なものだ。
パッと見た程度で覚えられる事などたかが知れている。
今回の様に暗がりで白い眼帯なんて普段見慣れない物を付けていたら、そこしか見ないのが普通だ。
犯人が眼帯を外したら多分見分けられる目撃者はいないだろう。
「防犯カメラに映像はないのか?」
「古い温泉街なので防犯カメラの数も少ないですね
今、調べさせてますが期待は出来そうもないです」
内情を知っての犯行だとすれば、犯人はまだ犯行を行うかも知れない。

「私服組はホテルや旅館の客を装ってパトロール、制服組は駅や道路の検問に集中させろ
眼帯は無視して怪しい奴は全て職質掛けろ!
ちょっとでも変な素振りを見せたら構わずしょっ引け!」
捜査員達に指示を出すと俺達は最初の現場に向かった。

「昔から現場百辺っていうだろ?
連続的な犯行の最初の現場には、犯行の特徴が色濃く出るんだよ
それに犯人がまた来る?…」
「け、警部!あいつ!」
目の前に眼帯を付けた怪しい男がいた。
「か、確保っ!!」
俺と相棒で犯人とおぼしき男を逮捕した。

犯人は最初の現場ならもう警戒してないと思って来たとぬかしやがった。
日本警察をナメるんじゃねぇよ。

まあ、半分は運だけどな。


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