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千分の一話噺

第540章 異世界アパート14


もうすぐ夏休み。
普通なら旅行や帰省シーズンだけど…。
「綾子は休みどうするの?」
涼子がニヤニヤしながら聞いてくる。
「何なのよ、そのニヤニヤは?」
「この夏の私の目標は綾子に彼氏を作る事よ!」
涼子は普段クールな感じで男性社員には抜群の人気なのに、私の前ではいつもこんな感じでふざけてくる。
「何でそうなるのよ!」
「私は君を心配しているのだよ
週末はいつも引き込もっているそうじゃないか?」
涼子はビシッと指差した。
(まあ、確かにこの世界の外には出てないけど…)
「…あっ!そうだ!
弟がたまには帰って来いって言ってたから帰省しないと!」
咄嗟に弟をダシに使った。
「そう、田舎に置いてきた男に会いに行くのも悪くないわね」
「違うわよ!」
全力で否定した。


休みに入るとすぐに異世界《グランロールス》に行く。
最近は一週間現実、一週間異世界の生活でバランスも取れている。
「こっちは日本より涼しくて良いわ」
天気も良いので町へ買い物に出た。

「アヤコが一人なんて珍しいわね?お姉ちゃんは?」
声を掛けてきたのはカタリナだった。
派手な柄の薄手のワンピースにサングラスにビーチサンダルと、どっから見てもモデルにしか見えない抜群のスタイル。
(双子でも清楚なナタリーとは趣味が全然違うのよね…)
「ナタリーは庭の手入れしてたわ
私は買い物、カタリナは?」
「私も食材を買いに来たのよ」
(買い物に来る格好には見えないけど…)
幾つかの店を一緒に回ると、必ずカタリナは声を掛けられる。
「カタリナちゃん、まけとくよ」
どの世界でも美人は得する様になっているみたいだ。
「アヤコちゃんだよね?ナタリーちゃんの店の…」
「えっ?私?」
なんと私もオマケでまけてもらった。

「アヤコも隅に置けないわね」
カタリナがウインクする。
私はキョトンとするだけだった。


end

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