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千分の一話噺

第536章 契約


彼がお盆休みで帰って来た。

「はい、お土産」
彼から渡されたプレゼントには青いリボンが巻かれていた。
「えっ!?これって…」
私は受け取る手を止めた。

青いリボン…。

私にとっては決して触れてはいけない物…。
「何故これを!?」
「…やっぱり貴女は…」
彼は私の正体に気付いてしまったの?…。

彼は巻かれていた青いリボンをほどくと中身のウイスキーボンボンを取り出した。
「覚えてる?貴女に初めて会った時に食べたチョコ…」
覚えているに決まっている。
この世界で『お盆』と呼ばれている時期にだけ、私の世界との扉が繋がる。
「あの時俺はまだ中学生だったから、これが大人の味なんだって…」
あの時私は、この世界で初めて会ったこの人間を最初の下僕にするつもりだった。
「あれから7年、まだまだ一人前とは言えないかも知れないけど…」
あれから7年、私は何をやっていたのだろう。
「結婚してほしい!」
「えっ!?でも、私は…」
この世界を、人間を支配する為に来たと言うのに…。
「歳上なのを気にしてるの?
そんなの俺には関係ないから…」
「そうじゃなくて…」
私が彼を愛してしまうなんて…。
悔しいけど彼といると楽しいし、彼のいない世界なんて考えられない。
「…その青いリボンを…」
私は彼と契約を結ぶ事にした。
私のご主人様として…。


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