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千分の一話噺

第528章 向日葵畑のその先に…


「お散歩、お散歩、楽しいなぁ~♪」


あれはまだ4~5歳の頃だろうか?


僕は向日葵畑の中を真っ直ぐ進む。
畑を抜けるとそこでは夏祭りが行われていた。

色々な屋台を眺めながら奥に進んでいく。
僕以外にも沢山の子供達が遊んでいる。
綿菓子にりんご飴、射的に金魚すくい…。
見てるだけでも楽しい。

更に奥へ行くと、移動遊園地が来ていた。
小さいながらも、観覧車やメリーゴーランド、ジェットコースターもあった。
木で組み立てられたコースに小さなトロッコが走っている。

「うわ~♪楽しそうだなぁ」

僕がジェットコースターのすぐ脇で見ていると…。
「どうだい?乗ってみるかい?」
ピエロの係員に誘われた。
「良いの?…やったぁ!」
僕は大喜びでコースターに乗り込んだ。

「うわぁぁぁ!」

「ひゃぁぁぁ!」

初めて乗ったジェットコースター。
思っていたより恐い…けど楽しかった。


楽しい時間はすぐに過ぎてしまう。
気がつくと日も暮れ掛かっていた。
ピエロの係員が僕に言う。
「そろそろ、お家にお帰り♪
でも、もう、ここには来れないよ」
「えっ?何で?」
「ここはね、君みたいな元気な子が来る所じゃないんだ…
ほら、あっちに君のお家が見えるだろ?
真っ直ぐお帰り…」
僕は真っ直ぐ家に帰った。



あれは夢だったのだろうか?
もうそろそろ寿命が尽きると言うのに、今でも鮮明に覚えている。
また、あそこで遊べるのか?
そう思うと死ぬのも恐くない。

僕は子供の姿でピエロに手を引かれて行く。
向日葵畑のその先に…。


end
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