第522章 撃ち抜かれた言葉
私は今、先輩に夢中だ。
「先輩、今日ってハーフタイムデーなんですよね」
仕事中だけど、仕事意外の話しもしたい。
けど…。
「ハーフタイムデーだ?
はあ…何でも横文字にすりゃあ良いってもんじゃねぇだろ?
そんなもん半ドンだよ、半ドン!」
先輩は、がさつでぶっきらぼうで無愛想で…。
「は、半ドン?って何ですか?」
「そんな事も知らねぇのか?半ドンってのは半日で終わる事だよ」
私より一回り以上も歳上で…。
「もう、これだからオジさんはっ!
ハーフタイムデーって言うのは、半日の事じゃなくてちょうど半年の日の事ですよ」
「オジさんで悪いか?お前だって後十年もすりゃあ立派なオバさんだ!
それに一年の半分が終わったからって何があんだよ?
そんなくだらねぇ事言ってねぇで次行くぞ!」
口は悪いけど、仕事が出来て、頼りになる先輩だ。
私は空手の有段者ではあるけど、何をどう間違えば刑事課、しかも一係なんて部署に配属されたのか?疑問でしかなかった。
その上、こんな先輩と組まされて初めはすぐに辞めようと思っていた。
「バカ野郎!下がれっ!死にてぇのか!」
ある凶悪犯を逮捕する時には私を庇って怪我をしてしまった。
それでも…。
「泣くな…こんなのは刑事としては当たり前だ…
お前が無事で良かった…」
ズッキュ~ン!
この一瞬で恋に落ちた。
それが一年前のハーフタイムデー。
私にとっては大事な記念日だ。
end