第517章 女王様の憂鬱
「女王様、こちらへ…」
私は鏡の前に連れていかれ立たされた。
「…失礼します」
メイドが数人で寄ってたかって私の服を脱がし始める。
「えっ?ちょ、ちょっと!?」
有無を言わさず全裸にされてしまった。
「なっ!何!?」
「では、こちらを…」
すぐに豪華な衣装を着せられ、化粧も施された。
「綺麗ですよ、女王様!
さあ、民の前へ…」
メイド長に促されてバルコニーに出ると…。
「「「うおぉぉぉ!」」」
民衆から大歓声が沸き上がった。
「…女王様、笑顔で手を振ってください」
後ろからメイド長に小声で指示され、それに従い無理矢理笑顔を作り手を振った。
(…何で私が…)
私は高橋愛唯《たかはし めい》、普通のOLなのにこの異世界の女王として召喚されてしまった。
この世界では新しい女王を異世界から召喚する決まりがあるそうだ。
権力争いや跡目相続などで国が混乱しないようにと何千年も前から行われていると言う。
「今日を愛唯新女王様に因み『メーデー』と致します」
「「「うおぉぉぉ!」」」
民衆の大歓声に私は、愛想笑いで手を振る。
私に女王なんて務まるとは思えないのに…。
end