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千分の一話噺

第52章 大晦日の決戦


今年も最後、風邪なんか引いてる場合じゃないのに、誰に移されたか風邪っぽい。
コート着て、マスクして向かった先はアイススケート場…、最悪だ。

「なんだよ、こんな所に呼び出して…」
俺の目の前には、ブランド物で身を固めた女性が立っている。
「今日こそはっきりさせてもらいますわよ!」
某一流企業の社長令嬢、美人ではあるがプライドが高く負けず嫌いで性格ブス。
何の因果か俺の幼なじみでもある。

「で、今日は何すんだ?」
スケート場に呼び出しならやることは決まっているが、一応聞いてみた。
「アイススケートで勝負ですわ!
わたくしが負けたらボーナス差し上げますわよ
おーほほほっ」
いまどきこんな笑い方する女も珍しい。

俺は溜め息しか出なかった。
ガキの頃から運動オンチな彼女は、何をやっても俺には勝てなかった。
それから事あるごとに勝負を仕掛けてくるようになった。
しかし、よくまぁ次から次から思い付くよな。
これで今年何回目の勝負だ?
数えるのも飽きたよ。

スケート場に入ると貸し切りになっていた。
さすがお嬢様、こんなくだらない事に、どんだけ金使うんだコイツ…。

まぁやる前から勝負は見えていたが、彼女はやっと立てる程度、勝負にならんわ。

サラっと勝負に勝つと、俺はさっさと帰り支度をする。
「も、もう一回勝負しなさい!」
「今日の勝負は着いただろ!一人でやってろ!
俺は帰って紅白歌合戦見るから…」
後ろで「きーっ!悔しいっ!」と叫ぶ声がスケート場に虚しく響いた。


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