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千分の一話噺

第510章 挽歌は見上げた先に…


「この作戦が終わったら例の場所に集合だ…
第44機甲部隊、出撃!」
司令官の号令で俺達の部隊は敵の迎撃に出撃した。


西暦2234年、人類は存亡の危機に直面する事になる。
火星人の地球襲来だ。

人類は西暦2100年代に火星へ移住を試みたが、そこには火星人が地下に一大国家を築いていた。
そこから人類と火星人との長い戦いの歴史が始まる。

火星上で開戦された戦争は地の利を活かした火星軍の圧倒的な攻撃に圧され撤退を余儀なくされた。
宇宙空間では、当初、人類軍が優位にあったが次第に火星軍に制空権を奪われていった。
西暦2200年に入ると火星軍の勢力は月をも支配圏に置き、地球へ降下してくるのも時間の問題と言われた。
人類軍は軌道上での戦闘にも敗れ、遂に火星軍は地上に降り立った。

火星軍は世界の主要国へ部隊を降下、世界中で戦火が上がる。
ここ日本でも火星軍の機動兵器が…。
「くそっ!なんて装甲だ!
一点に攻撃を集中させろ!」
人類軍の兵器では火星軍には歯が立たない。
「隊長!
これ以上は無理です!」
戦線はジリジリと火星軍に押し込まれていた。
「…仕方ない、この地点を放棄する!
至急、負傷者をC地点まで退避させろ!
他の者はトラップを仕掛け次第、B地点まで後退だ!」
俺達の部隊は撤退行動に移った。

しかし、圧倒的に優勢だった火星軍は、ある日突如撤退を始める。
ある学者は地球上のウイルスに感染したのでは?と言うが、本当の理由は誰にも分からなかった。


俺達の部隊は、半数近くが殉職した。
「第44機甲部隊、作戦終了により帰還しました」
『例の場所』で司令官に報告する。
「…よく戻った」
「司令…、申し訳ありません!
死傷者を多数出してしまいました…」
「…下を向くな
見上げてみろ…今年も桜が綺麗だぞ」
ライトアップされた満開の夜桜、部隊結成した時と同じ様に見事に咲き誇っていた。
散っていった仲間達が咲いてる様に思えた。


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