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千分の一話噺

第507章 マンボウは空を飛ぶ夢を見るのか?


「ひっく…ひっく…」
その日は何故か朝からしゃっくりが止まらない。
「参ったな…ひっく…」
「しゃっくりか?驚かせてやろうか?」
相棒が言う。
「驚かすと先に言われて驚くと思うか?…ひっく…」
「あはははっ、それもそうだな
しかし、運転は安全第一で頼むぜ
しゃっくりが原因で事故ったなんて洒落にならないからな」
何とも掴みどころのない相棒だが、仕事ではそれなりに頼りになる。
「分かってるよ…ひっく
それより、今日の予定…ひっく…分かってんのか?」
「今日は駅前を中心にした聞き込みだろ?」
俺達は、とある犯罪者を追っていた。
「ああ、目撃情報が出たから…ひっく…
ビジネスホテルやネットカフェをしらみ潰しに…ひっく…」
「さっきより酷くないか?しゃっくり…」
相棒の指摘通り、朝より酷くなってる。


駅に着くと…。
「何かいつもより人が少なくないか?」
相棒が首を傾げる。
「今日から…ひっく…マンボウだからな…ひっく…」
まったく、しつこいしゃっくりだ。
「マンボウ?あの平べったい魚の?」
相棒が素っ頓狂な事を言い出した。
「アホか!何で魚のマンボウで人出が少なくなるんだよ!?
新型コロナ対策のまん延防止等重点処置、通称マンボウだ
ニュースくらい見ろ!」
「ふふ~ん、知ってるよ」
相棒はニヤニヤしてる。
「知っているならボケるな!」
「でも、しゃっくり止まったろ?」
「あっ!…そういえば…」
わざとなのか偶然なのかは分からないが、たしかにしつこかったしゃっくりは止まっていた。
「何か俺に言うことあるじゃないか?」
「うっ、………ありがとよ
…聞き込み行くぞ」
まったく、掴みどころない相棒だ。


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