第502章 嗚呼、甲子園…
甲子園…。
俺達、野球部員にとって甲子園は憧れであり、最大の目標でもある。
全国高校野球大会は春と夏、チャンスは年二回。
しかしながら、うちのような弱小野球部には毎試合奇跡が起こらないと勝ち上がる事など出来ない過酷な試練と言える。
近年は21世紀枠なんてのもあるが、実力で出場するのが男のロマンだ。
例え叶わぬ夢だとしても、努力と根性で勝ち取らなければ意味がない。
「ハックション!ハックション!」
「今年は花粉が多いらしいから、花粉症には辛いな」
グラウンドをランニングしている最中もくしゃみや目の痒みに悩まされる。
「まったく、やんなるよ…
でも、甲子園行くには花粉症が、なんて言ってられないからな」
「でもよ、うちの実力じゃあ、甲子園なんて夢のまた夢…
花粉症のせいにした方が諦めつくんじゃね?」
確かに秋季大会では二回戦敗退で春の甲子園はなくなった。
だが、同じ高校生がやってるんだから勝てないはずはない。
「そんな弱気じゃ勝てる相手にも勝てないぜ」
「そういえば、監督が縁起担ぎでダルマ買ったって言ってたな」
「神頼みならぬ、ダルマ頼みかよっ!?」
監督がそんな調子じゃ今年の夏も無理かも知れない。
「だが、今年がダメなら来年がある!
いや、来年がダメでも留年すれば再来年もある!」
「お前、それこそダメだぞ…」
end