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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第37章 彼がドレスを脱ぐ時は







4月のある日



私は新たなる能力に目覚めていた


始まりは何となく自分の荷物を整理しようと自分の世界から持ってきたリュックの中を漁っていた時、どこからかポツリと落ちた5円玉



平凡に暮らしていたなら何とも思わない硬化だが、久々に見た丸い穴に何気無く糸を通してみたのだ

プランプランと揺れる5円玉………そう言えばこの異世界にも催眠術という概念は存在するのだろうか?

特に興味があった訳でも無いけれど、ふとそう思った事をきっかけに私はどんどん催眠術に夢中になった………




そう…………私が新たに目覚めた能力とは催眠術である!!!




私はとにかく親方や娘を相手に来る日も来る日も5円玉をユラユラ揺らし続けた




「あなたは段々眠くな〜る………」



何の成果も上げられず、ただただ同じ事を繰り返した期間は約3ヶ月



おがくずの中でモフモフしながら此方を見ていた親方が眠った


更に当初は5円玉を揺らすと引き千切らんばかりの力で引っ張っていた娘も最近では5円玉を前に無の表情になり、遂に今夜眠ったのである………



間違いない……私はこの3ヶ月で催眠術師としての力を付けたのだと確信めいたものを感じた




_________"


10時23分



彼を前に緊張の面持ちで5円玉を揺らした


私は今日この日の為に催眠術師になったのだ………

今こそ私の中で目覚めしパワーの全てを彼にぶつける時である



「イルミさん、5円玉をじっと見て私の言葉に耳を傾けてください……」



「………………。」



気怠く開いた双眼が冷め切った視線を硬化に送る



彼はこの3ヶ月間私が催眠術の鍛錬を積んでいる事を知っていた


当初は「馬鹿じゃないの」なんて呆れていた彼だが、私の熱意を前にいつしかそんな小言も聞こえなくなり、最近では私の鍛錬中は静かに見守ってくれていた




………………スルーされていたとも言えなくないが……



とにかく!私は今日この日の為にその情熱を注いでいたのだ




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