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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第23章 小さな刺客







10月のある日



私は寝惚け眼で揺れる洗濯機を見ていた

ガタガタ揺れる洗濯機は古びてはいないものの何分立て付けが悪くけたたましく振動する

起床してから身支度を整えるついでに貯まっている洗濯物を片付けよう、とぼんやり思い立ったのだ


……………まぁ、これ以上貯められないと言うのが本音だが……


キッチンの小窓から見えた空は快晴、暫く雨が続いていたからか久しぶりに雲一つもない空を見た

歯を磨いている時から考えてみるとかなりの時間を無意味に洗濯機観賞に費やしてしまった気もするけれど、まだまだ覚醒し切らない頭では然程気にならなかった

彼が見ていないのを良い事に大きな欠伸を漏らしながらリビングへ戻れば

彼はまだまだ夢の中の様で筋骨のしっかりした身体を小さく丸めてスヤスヤと眠っていた


自然とニヤニヤ緩む頬


寝起き顔でボサボサ髪の女のニヤけ面なんて想像するだけでゾッとするけれど、これだけ騒がしい音が響いていても一向に起きる気配は無いのだ………


私の胸は圧倒的な優越感に満ち溢れている


普段人を寄せ付けない彼の無防備な姿…………特別…………ッ

誰にも懐かないと言われている猛獣を手懐けている様な充実感!!


そっと傍に寄って覗き込めば見える薄く開いた唇にクラクラと目眩を覚える

いつもの凛とした空気を纏う美しい彼も素敵だし、妖しく微笑む彼も魅力的ならあどけない寝顔もまた素敵だ…………


天使が眠っているんだよ、と言われれば簡単に納得してしまいそうな寝姿なんて彼くらいのものじゃなかろうか


……………あぁ、神様…………彼をこんなに美しくつくってくれてありがとう………………


然程信心深い訳でも無いのに私は彼に出会ってからの方が神様に感謝している気がする









………………私がそんな穏やかな朝を過ごしていたのはほんの束の間の事だった…………



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