ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第21章 秋雨の時に
スヤスヤと眠る彼の素肌にドキドキしながらも布団をゆるく引き上げて、私はソロソロと身支度を整えた
まだまだ彼の温もりを感じていたいし、まだまだ余韻に浸っていたい
うっとりする様な愛の時間から私が抜け出したのはある思い付きからだった
身体中からみなぎる彼へのLOVEパワー!!!
じっとしている事さえままならず舞い上がる気持ちが拍車を掛けて私は外へと飛び出した
彼の寝顔へ「大好き、行ってきます」なんて小声で報告するベタなやつをお見舞いした私はルンルン気分で階段を降りる
この世界で私の外出が禁じられる事は無かった
きっと彼の状況も治安も全く違うから
一応報告の置き手紙はしておいたし問題無いだろう
外は相変わらずの雨模様
開いた傘の中で雑踏を聞きながらも私は鼻歌を歌った
久しぶりに本格的な手料理を振る舞える……!!!!!
ならば彼の故郷の味をと人で溢れたスーパーをぐるりと回り店を出た
どっさり買い込んだビニール袋を下げながら帰路に付く
彼は喜んでくれるだろうか
もしかしたらびっくりするかもしれない……なんてちょっとしたサプライズに一人頬を緩ませながら水溜まりを踏んだその時だった
「……ちょっと傘入れてくんない?」
聞き覚えのある声色
屈み込んで強引に此方へ身を寄せたその人は私から容易く傘を奪うと
黒髪から雫を滴らせ、実年齢よりも幼く甘い笑顔で微笑んだ
「よ、久しぶり」
「……………っ!?!?」
ザアザアと強さを増した雨足にポカンと開いた口から声は出なかった