第2章 冬の雨
「…何処から逃げてきたんだ…」
「……荻窪方面です…青梅街道へでて、ひたすらに真っ直ぐ走って逃げてきましたが…もう動けなくて…」
「ずっと、その格好ででか?」
「……はい…」
荻窪から中野坂上…
地下鉄や車ではたいしたことない時間で行き来できるが、歩いてくるとなるとかなりの距離だ。
女の顔を見ればもう青ざめる様に真っ白。
それに男が追いかけてこないとも限らない。
「………」
すると、リヴァイは女の手を取る。
「一人暮らしの男の家でいいならついてこい。」
「…あ、あの……」
「逃げられる所を探してるんだろ?どんな野郎か知らねぇが追いかけて来ないとも限らない。だが、無理強いするつもりはない。どうしたいかはお前が決めろ…」
すると、女は今にも消え入る様なか細い声でリヴァイに告げた。
「…お願いです……助けてください……」
「了解した……」
すると、リヴァイは先程のコンビニにその女を連れて入ると、1枚のカードを渡した。
「男の一人暮らしの家だ。女が必要とする物は何1つない。とりあえずここで買える物は全て買え。ここに現金がチャージしてあるからこれで買ってこい。見られたくない物もあるだろうから俺はここで待ってるぞ。」
そう言うと、リヴァイはイートインコーナーの椅子に腰掛けて女に背中を向けた。
「あ、ありがとうございます…」
女はリヴァイの気遣いに感謝の言葉を述べると、急いで必要な物をカゴに入れ始めた。
下着、靴下、新しいスリッパ、生理用品、化粧品、洗面道具一式。ついでにサンダルも売っていたためカゴに入れる。
一通り身の周りの物を買い終わると座っているリヴァイに声をかけ、カードを返した。
「すみません…お金は後ほど必ずや返しますので…」
「いや、いい…金の事を気にするくらいなら自分自身の事を心配してやれ。じゃあ、いくぞ…」
「あっ……」
リヴァイは女が持っていたレジ袋を引ったくるように奪うと、傘をさして中に入る様視線で促した。