第6章 良いお年を【エルヴィン】
──年末年始ならばエルヴィンもゆっくり時間が取れるよ!年越しは私達と一緒に騒いで、新年は二人で過ごしなよ!だからさ、君も帰郷はやめにして兵舎に残ったら? ──
ハンジ分隊長に提案され残る事にしたのだ。故郷の両親は──新年を共に過ごす誰かいい人がいるの!?──と騒いだが、兵団の仲間と・・とはぐらかした。まさか、あのエルヴィン・スミスと聞けば腰を抜かすのは目に見えているから。
「適当に俺かミケ、クソメガネを代役に立てればいいだろう」
リヴァイ兵長の提案にも首を横に振る。
「いつも苦労をかけている君達には年末年始くらい休んでほしい」
「俺は代役で行っても構わないがな」
ミケ分隊長の申し出もやんわりと断る。
「おい、本当に二人で過ごさなくていいのか?」
兵長の目線の先には私がいた。私達の関係を敢えて口にした事はない。しかし、長年の付き合いである彼らにはお見通しだった。こうやってハッキリと口に出されたのは今回が初めてだが。
「すまないと思っている」
明らかに私だけを見つめて謝罪する彼を他の兵士が見たらどう思うか。
「困らせないで下さい」
作った笑顔が余程いたたまれなかったのだろう、この話はここで終わった。