第1章 始まりの章
ある山の中を進む
一つの影
『いつ来てもこの山はあまり
変わらないね…』
鎹鴉を肩に乗せた少女は
軽々と木々の間を飛び跳ねてゆくーー
『これは鬼?の気配……
っ!鱗滝さんっっ!!』
たどり着いた山小屋に異様な気配を
感じ駆け足で近づきながら大声をだす
『鱗滝さん!大丈夫ですか!?』
「おぉ!絢迦
お前はいつも突然だなぁ」
緊迫した彼女とは裏腹に
小屋の中で囲炉裏にあたっていた
鱗滝は狐の面の奥で微笑む
『ここに鬼の気配が!!
気づいてないのですか!?』
「それがのぉ…絢迦
落ち着いて聞いておくれ」