
第4章 Shoot! 〈天晶 瑠璃〉

「分かったわ。でも服は着替えてきなさい。大事な服が汚れちゃうわ」
『は、はい!』
部屋に行ってパジャマに着替えてきた。バレエ…やりたい。でも、おばさん達に負担をかけるわけには…。
「お姉ちゃん?」
『あ、藍…』
「やっぱり、バレエで悩んでるんでしょ」
『えっと…』
「お姉ちゃんが右斜め上45度を見る時は何かを隠してる時」
『うっ…』
「私は、やった方がいいと思う」
『でも…』
「私達だって、お姉ちゃんには自由にやってほしい」
『!』
私、やってもいいの?バレエ、大好きな…バレエをやっても、いいの?
「あたし達のことは気にしなくていいからさ、お姉ちゃんもやりたい事やってよ」
『藍…』
「多分、おばさん達も反対はしないだろうから」
『…ありがとう。藍』
決めた。私は…もう一度、バレエを、やるんだ!
『私、もう一度、バレエをやりたい。藍。ありがとう。私、やっとわかった』
「うん」
「藍ー!瑠璃ー!ご飯よー!」
『は、はーい!行こう、藍!』
「うん!」
今までずっと我慢してきた。でも、これからは私はバレエを人生に捧げてみたい。ご飯も食べ終わって、皆がお風呂に入り終わった。あとは皆を寝かしつけるだけ。
『灰簾!翡翠!琥珀!藍!瑪瑙!もうそろそろ寝る時間だよ』
「はーい」
灰簾は遊んで疲れたのかもう既にウトウトしている。灰簾を抱えて寝室に向かった。実はこの親戚のおばさん家はお部屋沢山あって持て余しているから是非家に来てくれって言ってくれた。そのおかげで今は一人一部屋ある。一人ずつ部屋を回って声をかけてくる。みんな今日は疲れたのか、直ぐに眠ってしまった。
『あ、あの…おばさん…』
「分かってるわよ。バレエでしょ?」
『え…どうして…』
「そんな顔に見えたから」
『今日、蓮見さんにバレエスクールの勧誘を受けました。無償でレッスンを提供するとも』
「あらまぁ。それは助かるわ。あとは、バレエシューズ、買ってあげないとね」
『で、でも…』
「良いのよ。私達の楽しみなんて子供達に何か買ってあげる事なんだから」
おばさん…凄く優しい。何でだかわからないけど、涙がぼろぼろ溢れて止まらない。
「もう、我慢するのはやめなさい」
『うっ…ふっ…』
「自由に、なりなさい」
「そうだぞ」
『おじさん…』
「若いうちにしか出来ない事が沢山あるんだ。若い時にまで我慢するんじゃない」
