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Break! 【イナズマイレブン】

第19章 Hurt! 〈綾織 星羅〉


「準決勝も、あと五日後だ」
『決勝までには絶対に治すよ。応援、したいもん』
「ああ、待ってる。…残念だが、時間だ。そろそろ円堂の所に行ってくる」
『うん、行ってらっしゃい』

有人君が病室から出て行った。仕方ないからテレビを付けて時間を潰す事にする。お昼を食べると、結構眠くなって来たから寝ようと思っていたその時だった。

コンコン

『はい』

入って来たのは、知らない女の子だった。雷門中の制服を着ている。私は雷門中に知り合いはいない筈…。

「突然すみません。鬼道 有人の妹の音無 春奈です」
『えっ…?』

妹、なんてそんな話、してくれた事無かったな…。しかも、苗字も違うし。でも、きっと何か事情があったんだろう。

「お兄ちゃんから聞きました。婚約者だって」
『有人君から…』
「私達、幼い時に両親が飛行機事故で亡くなってから、別々の家に引き取られたんです。だから、苗字が違うんです」
『そうだったの…』
「何も…思わないんですか?」
『私だって、この前同じ風に両親を亡くしたばかりだったの。貴方と有人君は例え苗字が違っていようが大切な兄妹には変わりないでしょう?私はそんな大切な兄妹の絆を笑うなんて事しない』
「やっぱり、お兄ちゃんが言ってた通りの人だった」
『え?』
「お兄ちゃん、言ってたんです。とても素敵な人だって。自分が婚約という形で縛り付けてしまうのが勿体ないと思うくらいって」
『そんな事、言ってたんだ。私だって、有人君が私なんかと婚約するなんて申し訳ないっては思うけど…嬉しいって思ってたりするの』
「好きだから…ですか?」
『そう、なのかな?自分では良く分からなくて』
「お兄ちゃんの事、お願いします」
『はい。春菜…さん、ですよね。是非、また来てね。私、とっても退屈だから』
「はい!」

春菜さんは笑顔で病室を出て行った。紹介されないと、心配にもなるよね…。私は、まだ紹介するに値しないって事…?分からないや。でも、少しでも有人君に釣り合う様にならないと…。

「お昼のお椀下げますね」

看護師さんがやってきてお昼の食器を下げていった。私、思ってるより有人君の事、好きだった。だから、怖いんだ。いつか見放されるんじゃないかって。一人が辛いのを今身を以て知ったから、一人にはなりたくないと思ってしまう。隣にいて欲しいと思うのはやっぱり有人君なんだ。
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