第7章 意思
何処に向かうのか分からないが、樹戸の車で探偵社を離れた。
は助手席に乗らされた。
先程から無言で、それがやけに怖いと感じる。
怖くて窓から外の景色を見ることしか出来なかった。
流石に沈黙に耐えられなかったが声を出す。
『…お母さんは帰って来ているの?』
「いや、帰って来てないよ」
が横浜に行く一年前程に、母は仕事で出張すると話していた。
『…1度も?』
「ああ」
そこで会話は途切れた。
また、外を見ていると遠くからあの2人がいた。
思わず声が出そうになった。は身を乗り出して、窓に顔を近づけた。
「知っている人がいたのかい?」
いつの間にか、車は停車していた。
『…探偵社の人』
その姿は敦と鏡花だった。
「好きな人?」
その言葉で恵美は反応した。
「図星か」
樹戸は助手席側の窓を見た。
「どの子?」
『えっ、と…銀髪の人…』
「着物の子と一緒の?」
こくりと頷いた。