【名探偵コナン】トリプルフェイスの幼馴染は最強?【BL】
第11章 怪盗キッド
怪盗キッドside
パーティ会場内を予定通り停電させたことにより問題なく目的のレッドアイズを盗むことに成功したまでは良かった。
今回もあの少年が居るのだから最後まで気を抜くつもりはなかったのだが思いもよらぬ相手に腕を掴まれ、一昨日運悪く手首を痛めてしまったソコを掴まれた瞬間痛みに堪らず表情を歪め、さらに自身が怪盗キッドだと指摘されたことにも驚いた。
「(まさかメガネの少年以外にも油断ならない人物が居るとは…)」
もしもの時ように用意していた作り物の腕と素早く入れ替えることでなんとか逃げることができた。
それからまたすぐに事前に置いておいた仕掛けを起動させ、その効果によりパニックになった乗客に口端を上げて避難する波に紛れ込むことで会場から脱出…したはずだったのだが…。
『…何処に行く気だ?怪盗キッド』
目の前で腕を組んで立つ男。確か食事を食べにきた際に少しだけ話したなと思い出す。
しかし手首の包帯を一瞬でも見られてしまったこと、さらに腕を掴んだのも彼だというのだから一体何者なのか。
正直メガネの少年よりも手強い相手なのかもしれないと思いながら男の真意を問うと予想外の返答におもわずキョトンとしてしまった。
「…ふっ、貴方は変わった方ですね。…是非貴方のお名前をお聞きしたいのですが」
『蒼井悠」
「悠さん…素敵なお名前だ」
素直に名前を褒めると微妙な顔をされ笑みを浮かべ、初めて彼を見た時は普通にカッコいい人だなと思うだけだったが、実際に目の前に居て話をすればするほど彼に対する興味がわく。
…悠さん、か…
しかし思っていたよりも話し込んでしまっていたのか完全に逃げ道を塞がれた状況に内心舌打ちを溢す。最悪強行突破しかないかと最終手段として準備してあった催涙弾を取り出そうとした瞬間客室の一室をピッキングし始めた彼の行動に驚き、さらにそのまま開かれた部屋へと押し込めてきた彼が耳元で囁く言葉に口を開く間もなく閉められてしまう。
「…っ…心臓うるさッ…」
なぜか煩く高鳴る心臓と顔の熱に困惑しながら扉の向こう側から微かに聞こえる中森警部と彼との会話を聞きつつも、せっかく彼が逃げ道を作ってくれたのだからと客室の窓から飛び出してハングライダーで漸く豪華客船を後にした。