【名探偵コナン】トリプルフェイスの幼馴染は最強?【BL】
第16章 偽りの仮面
カタカタとキーボードの音を立てながら仕事に勤しむ最中にこの間のコナンとのやり取りを思い出す。
コナンが新一だということは紛れもなく事実で、それならばその新一の家に住んでいる沖矢昴という人物はいったい何者なのか。
あの彼がそう簡単に意味もなく他人を住まわせるとは考えにくい。
『(…そうなると気になるんだよな…。零が昴は赤井だと言っていたことも引っかかる)』
付き合いが長いからこそ分かる。あの零が確信をもっていた時ほど外れた試しがないということ。
とはいったものの確かな証拠もなく問いただすわけにもいかないのでどうすかと考えていると、そういえばと鞄の中をガサゴソとあさって一枚の紙を取り出す。
『…さすがにコレはどうかとは思うが……ま、使えるものは使え、ってな。…お、風見!丁度いい所に!悪いんだけどよ…コレに付着してる指紋…ちょーっと調べてくんね?あ、極秘で頼むぜ!』
「お疲れ様です蒼井さん。??極秘、ですか?…まぁ別に構いませんけど…。お昼過ぎには結果をお渡しできるかと」
『ん、それで構わねえよ。悪いな!…分かってるとは思うが…「降谷さんには秘密、ですよね。分かってますよ」…ははは、さすが風見。んじゃ頼んだぜ』
丁度タイミングよく通りかかった風見を引き止めて以前貰った昴の連絡先が書かれた一枚の紙きれを袋に入れて渡し、俺以外にその結果を知られないよう注意することを忘れずに指紋鑑定を頼んだ。
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「蒼井さん、先ほど頼まれた物です。もちろん中身は見てませんので」
『お、サンキュ!仕事が早くて助かるぜ。ありがとな』
今日は職場の食堂で食事を済ませて缶コーヒーを片手に休憩しに行こうとしていると風見に呼び止められ、数時間前に頼んでいたものができたとのことで差し出された封書を礼を言って受け取り人気のない場所へと移動する。
『………………ふー………』
さっそく中身を確認すれば予想していた結果に近くの壁に背中を預け空を見上げ思わず長い溜息を吐き出す。
『………どうすっかな……』
そう小さな声で呟くも答えなど出てくるわけもなく、これ以上考えては頭がパンクするだけだと無理矢理思考を中断させて手に持った紙を強引にポケットの中へと押し込んで来た道を戻った。