第18章 口実になるだろう
「口実、か・・・。」
職員室を後にして、高尾と別れ1人考える。
正直なところ手をこまねいてる状態だった。赤司を説得するなんて言ったものの、結局は花子を賭けて勝負することになってしまった訳で。しかもその話もできていない。
花子に連絡もしてみたが、高尾同様に取り合ってすらもらえなかった。
信頼していた幼なじみから強引に襲われ、心底傷ついただろうし、中学のときの事件を思い出しかねない。
そんな状態だと仮定したときに、いくら幼なじみでも、男である以上花子はオレの顔も見たくないだろうと思った。
そうなってくると、オレには待つしか選択肢などなかったのだ。
「さて、どうしたものか。」
花子の家の前まできて、インターホンを押すか押さないか迷っていた。
花子に会ったらまずはなんて声をかければいいのか頭の中でシュミレーションをしてみる。
久しぶり。
・・・・・たかが1週間で久しぶりではないか。
元気か?
・・・・・元気じゃないから学校を休んでいるのか。
足りない頭をフルに回転させてみても何も出てこない。これだから数学のように法則のない恋愛は嫌いなのだ。
今日は出直そう、そう思ったときだった。
『・・・真ちゃん?』
振り返るとコンビニの袋をぶら下げた花子が立っていた。
「おう、久しぶり・・・なのだよ」
結局オレの第一声はそれになり、案の定花子からはたかが1週間じゃん。なんて笑われる始末だ。