第8章 しけた面してんじゃねーよ
第3Qが始まる。
黒子はベンチスタートか。でもきっとこれで終わりじゃない。それは誠凛の選手の目を見れば一目瞭然だ。
まぁなんだっていい。
全力でたたき潰すだけだ。
そう意気込み、3Pを打とうとしたときだった。
火神がいつの間にかオレに追いついてブロックしようとしている。
しかし、火神のディフェンスも虚しくオレのシュートは外れない。
それより・・・・・、いやそんなことはない。
試合中にどんどんジャンプが高くなるなんてありえない。
そう思ったが2本目の3Pを打ったときだった。
オレの予想は確信に変わった。
ボールに火神の爪の先が一瞬触れたのが分かった。
ボールは軌道を変えることはなかったが、リングの周りをクルクルと何週か回ってから入っていった。
「あっぶねぇー。」
汗を拭いながら高尾が言った。
オレのシュートは落ちん、いつも言ってるじゃないか。そう思ったが、火神相手にもう、そんなことも言っていられない状況になってきていた。
「オイ、オマエ星座は?」
「あ?しし座だよ。」
んだよ、試合に関係ねぇだろ、と火神は言い放った。
いや、そうでもないのだよ。オレは今日のおは朝占いを思い出した。
(たぬきの信楽焼を持てば向かうところ敵なし!ただし、しし座の方とだけは相性最悪。出会ったら要注意!)
「全く。本当によく当たる占いなのだよ。」
オレの口から出た言葉たちは、誰の耳に届く訳でもなくコートの中に消えていった。