第44章 忘れさせてやる
『・・・っあ・・・ぁぁぁんっ・・・ダメぇぇ・・・んっ、』
「・・・花子っ、」
『ぁっ・・・・イっちゃう・・・ダメぇっ・・・んぁっ・・・んっ・・しんちゃっ・・・っあ・・・やぁっ・・・っ、』
「・・・っ好きだ、」
『あたしもっ・・・すきっ・・・・ぁぁっ・・・っ・・・イクっ・・・ぁぁぁんっっ、』
身に纏う全てを脱ぎ捨てて、花子の最奥へと自分のソレを何度もグリグリと押し付けた。その度に花子は身体を震わせながら快楽の渦へと飲み込まれていき、これが互いに何回目の絶頂なのか今更思い出せやしない。
いつもよりたくさん名前を呼んで、いつもよりたくさん愛撫をして、いつもよりたくさん愛を囁いて。
少しでも花子が忘れられるようにと必死に腰を揺らした。
「・・・花子?」
『・・・っ・・・・っ、』
疲れてしまったのか、肩で呼吸をする花子は、既に眠っていた。汗でへばりついた前髪をかき分け、触れるだけの甘いキスをひとつ落とす。
目が覚めたとき、落ち込まないように。悲しまないように。自分を責めないように。1人で涙を流さないように。欲を言えばオレに怯えないように。
そんな願いを込めて・・・・・。
そのうちスースーと規則的な寝息を立て始めた花子に布団をかける。事後処理を程々に、部屋にはメモを残した。
“何かあれば連絡しろ。いつでも構わない。すぐ行く。”
なんて書いてみたが、実際のところ何かがなくたって花子がオレを求めるならいつでも、もっと言えばどこへでもすぐに駆けつけるつもりだ。それくらいに惚れているし、花子の我儘だってひとつ余すことなく叶えてやりたいと心の奥底ではいつも思っている。
アイツは気付いていないかもしれないが、オレは本来、好きなオンナにはとことん甘いのだ。
そんなことを考えながら黄瀬の勝利を信じて、足早に体育館へ戻る。灰崎を探し出し、一発殴ったってバチは当たらないだろう。
思わず渇いた笑いが口元から漏れた。
(「・・・許せないのだよ」)