第7章 殴ってください
第1Qは19-13で終了した。
真ちゃんがあんなところから打てるなんて知らなかった。
高尾といい真ちゃんといい今日は驚くことばかりだ。
「あちらはまず何とか緑間止めにくるよね、うーん。どうしようか。」
「監督。」
「なんだ、緑間。」
「第2Q、全部オレにボールください。」
『はい?』
びっくりしすぎて声が裏返った。さすがのこれには宮地さんも黙ってはいられないようだった。
「山田、こいつ殴ってもいい?」
『むしろ殴ってくださいっ!』
「宮地、パイナップルでも投げるか?ウチ八百屋だし。」
「どんだけ唯我独尊だよ、真ちゃん!まじ好き!そういうのまじ好き!」
『茶化すな、高尾!』
ギャハハハ、と涙を流しながら笑う高尾は真ちゃんの肩をポカポカと叩く。
「どんな手で来ようが、全てオレがたたき潰す。」
「今日のワガママ3回で手を打とう。」
『良いんですか、監督?』
さすがに先輩たちも監督の意見には逆らえないのか、何も言わなかった。
本当に信じられない、でもやるからにはしっかりやるんだよ、この2つの気持ちを込めて、私は、真ちゃんの背中を少し力強く叩いた。
第2Qは言葉通り、真ちゃんにボールが集まった。
チームの士気が気になったが・・・・・、高尾のおかげでなんとか保てているようだ。
そして45-27秀徳リードで第2Qは幕を閉じた。
(「真ちゃん、すげぇすげぇ!」)
(「つうかオレらは退屈。」)
(「木村、やっぱパイナップル貸して」)
(「ギャハハハ!」)