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緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第38章 一発、ドーンと






「あ、いた!山田っ!!ったく探したぞ?真ちゃん宥められるのオマエしか、って・・・げ。」


「“げ”とは、酷いなー。高尾くん。」


「す、すいません。何してんだよ、山田。」



山田はごめん何でもないの、なんて笑いながら髪を耳にかけた。いつか真ちゃんが“花子は嘘をつくときに髪を触る癖がある”と言っていたのを不意に思い出した。


最近ではソレがオレにも分かり、今のがウソだということにも簡単に気付くようになった訳だが、とくに山田には何も聞かなかった。


聞いても教えてくれないというのもあるが、それよりもオレはこの場を一刻も早く離れたかったのだ。


理由は目の前にいる大男、木吉鉄平。
オレはこの男が苦手なのだ。


“高尾くんも花子が好きなの?”


夏合宿でこの大男に言われたことが、何度も頭の中をループする。そしてこの一言のせいで山田を気にしてしまう節がオレにはあった。


まさか、オレが山田を・・・?
んなわけねぇ、山田を女だと思ったことなんて一度もねぇだろ、オレ!!


とその都度自分に言い聞かせては、山田みたいな女は好みじゃないと思い直していた。


もちろん今でもそう思っているが、時々、本当に時々、心臓がドキリと跳ねたり、チクリと痛むこともあった。


例えばあの山合宿。
今にも山田にキスしそうな赤司の間に入ったとき。怯える山田がオレの裾を掴んだその瞬間、心臓がドキリと大きな音を立てた。


それから何気ない毎日の一コマ。
学校でも部活でもなんとなく山田を目で追いかけると、オレと同じように彼女はいつもそれで真ちゃんを追いかけていた。そんなときオレの心臓の奥の方がチクリと痛むのだ。そしてオレの心臓は圧倒的に痛むことの方が多かった。

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