第27章 オマエのが綺麗だよ
「ひとまず、理由は分かったのだよ。」
『ごめんなさい。』
盲点だった。
今になって見れば顔がいつもより赤いことも分かるが、今日は花子に見とれすぎていてそんな些細な変化にも気付けなかった。
それに花子が熱があるのを黙ってたのは、デートしたかったからなわけで。
可愛いなと思う半面、申し訳ないなとも思った。
「明日朝熱あったら部活休めよ。」
『うん、そうする。』
「じゃ、オレは帰るぞ。」
花子の頭をわしゃわしゃと撫でてから立ち上がると、洋服の裾をキュッと摘まれた。
「ん、どうした?」
『・・・・・て、』
「なに?」
『もう少しだけいて・・・?』
顔を赤らめて、尚且つうるうるした瞳で彼女にお願いされたら断れる男なんてきっといないだろう。
「寝るまでいてやるのだよ。」
『ん。ありがと。』
目を閉じた花子に優しく頭を撫で、少し経てばスースーと規則的な寝息が聞こえてきた。
眠ったことを確認したオレは、花子の唇を親指でそっとなぞったあと、起こさないように触れるだけのキスをした。
「風邪治ったらデートしような。」
(「高尾、花火どうだった?」)
(「宮地さんのおかげで最高でした。」)
(「あれ?緑間と山田は?」)
(「2人仲良く風邪です。」)
(「あいつらベロベロキスでもしたんだろ?」)
(「宮地さんてド変態すよね。」)