第27章 オマエのが綺麗だよ
『花火大会?』
「明日あんじゃん、知らねぇの?」
夏の暑さと戦いながら、部活を終えた私たちはコンビニでアイスを買い、(もちろんじゃんけんに負けた高尾の奢りです)近くのベンチに腰を下ろしていた。
話題は学校からすぐ近くの河原で毎年行われている花火大会。今年はそれが明日らしく、高尾は3人で行きたいようだった。
『行く、行きたーい。』
「山田ならそう言ってくれると思ったぜぇ。真ちゃんも行くよな?」
「行かな」
『行くって!』
「よーし決まり。」
「おい、人の話を聞くのだよっ」
ガミガミうるさい真ちゃんを横に、私と高尾は何食べようかと明日の花火大会に向けて胸を弾ませた。
『あんず飴食べたい。』
「オレはりんご派だなぁ。」
『え〜、絶対あんずのが美味しいから。』
「いや、オマエら。花火見る気ある?」
『あるよね、高尾?』
「あるある、超ある。」
真ちゃんは得意の大きなため息を吐くと、立ち上がり先に歩き出した。高尾と私も追いかけるようにその後を着いていく。
「てか、昨日ちゃんと仲直りできたんだな。真ちゃんと。」
『あぁ、うん。なんとか。』
「まぁ、あんな格好で帰ってきたらいい気はしねぇよな。」
『そういうもん?』
「そういうもん。オマエ、男心分かってないねぇ。」
意地悪そうにニヤリと笑う高尾に腹が立ったが、ぐうの音も出ず膨れっ面のまま私は帰路に着いた。
・・・花火大会か。中1のときに真ちゃんと赤司と行ったのが最後だったなあ。
赤司が昔の赤司に戻ったら、また一緒に花火が見れたらいいなと思ったことは、誰にも言えなかった。