第26章 ただの醜い嫉妬だ
『うわー、濡れちゃったよ。』
部費用の財布しか持ってこなかった私は、急な雨に降られ、傘もなく、一旦駅前で雨宿りをしていた。
携帯も置いてきてしまった為、真ちゃんに連絡もできず。
・・・最悪だ。これは雨が弱まるまで待つしかないか。
制服はびちゃびちゃでへばりつくし、夏とは言え雨のせいで少し身体が冷えてしまった。
そう言えば今日のおは朝占い、私のやぎ座は12位。そのせいでこんなことになってしまったのだろうか?
・・・まさかね。たかが占いだ。
なんて真ちゃんには口が裂けても言えない。
「花子か?」
声をかけられ振り向くと、そこには鉄平さんや黒子くんたちがいた。
『あれ?こんなところでどうしたんですか?』
「ストバスの帰りなんだ。花子は、・・・1人なのか?」
鉄平さんは近くをキョロキョロ見渡してから問いかける。きっと真ちゃんがいると思ったに違いない。
『そうです。備品の買い出ししてて、』
テーピングやら冷却スプレーなど入った袋を持ち上げて見せる。ちゃんとマネージャーしてるんだな、偉いぞ!なんて頭を撫でる鉄平さんはいつも私を妹みたいな扱いをするが、それがなんだか心地よかったりもする。
兄弟のいない私にとって、お兄ちゃんは憧れの存在で、お兄ちゃんがいたらこんな感じなのかなって密かに考えていた。
ふと視線を下げると黒子くんの足元には小さな犬がいた。
『その犬、なに?すごい可愛いね。』
「拾ったんです。2号って言います。」
可愛い〜と頭を撫でてあげると、2号も嬉しそうに尻尾を振っていた。
「てか、オマエ。その服なんとかなんねぇの?」
2号と戯れていると頭上から火神くんに声をかけられる。なんのことかさっぱり分からないでいると、視線を逸らしながら、透けてんぞ、と一言指摘された。