第3章 黄色との再会
授業が終わり
いつもならトイレに篭って
練習着を下に着込むさやだが
今日は大事な予定があるので
そのまま一旦家に帰った。
朝、練習で汗をかいたので
軽くシャワーを浴び
ピタっとしたリブの白い肩出しのトップスと
赤いミニタイトスカートを穿いて
「よし、準備はこんなものでいいか」
ボイスチェンジャーもウィッグも外した。
完全にいつもの自分。
さやはもう一度家を出て
電車に乗るため駅までの道のりを駆け足で向かった。
***
電車を降りてついたのは
"海常高校"
朝、黄瀬からのLINEで
今日黒子との練習試合があると聞いたさやは
喜び勇んで応援に向かう事にした。
校門につくと
黄色の髪がさらさらと風になびかれているのを見つけた。
「涼太!久しぶり!」
「さやっちー!久しぶりっす!」
さやの姿を見つけると
駆け寄る黄瀬。
さやも今日ばかりはと
駆け寄りその胸に飛び込む。
「っわ!さやっち今日積極的っすね
なんか照れちゃうっす」
「だって私の可愛い駄犬と
こんなに離れていたのは初めてなんだもの
私だってたまには涼太に甘えたいの」
ぎゅっと抱きつきながら
顔をあげ、見つめるさや
(やばいっすっ…
こんなさやっち見た事もねえ)
「あーもう!
そんな可愛い事言わないで欲しいっす!
試合どころじゃなくなるじゃないっすかー」
へなーっと倒れ込んでくる黄瀬は
さやの肩に頭を乗せぎゅっと抱き締める。
ゆっくりとその頭を撫でると
黄瀬はもっとと言うように頭を擦り付けた。
「涼太可愛い。
今日は女の子に囲まれてないのね」
「大事な子が来るからって
帰ってもらったっすよ。もちろん。
ねえ今日は俺ん家来てよ、いいでしょ?」
こつんと額を合わせ見つめ合う。
可愛い駄犬につい甘やかしたくなるから
私は駄目な飼い主だと言われてしまうのか
「いいよ。いっぱい可愛がってね」
「っ…!
もちろんっすよさやっち…」