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~桜の木の下で~

第17章 一念発起


衣月はため息をついて何も言わずに入り口へと向かったが振り向いて言った。

『あ、そうだ。あたしはもうここには戻らない。あとは好きにしな。お前らが男子禁制の隔離された理想郷を作りたいなら勝手にしろ。ただ、本当にそれでいいのか?過去の出来事から逃げて前に進まないでいいのか?恐怖を捨てろとは言わん。でも、前くらい向けるだろ?』


衣月は部屋へと戻り、荷物の整理をしていた。


『めっちゃある…どうしたもんかねぇ…』

衣月の部屋には留守中によくバレなかったなと言いたくなる程の大人の小説や大人のおもちゃが大量にある。

『ほぉ…お前は前のほうではなく後ろも犯されたいということか。』

『って!!三蔵っ!?なんで読んでるのっ!!しかも!それは別にノリで買っただけでっ!!それにっ!!そのマニアックプレイのやつは師匠の遺品の1つであたしはそんなのに興味はあってもしたくないの!!』

突然、現れた三蔵に特殊なプレイの小説を読まれおもちゃを見つけられて焦る衣月。


『安心しろ…今度してやる。』

『しなくていい!したくないって言ってるでしょーが!!』


三蔵と衣月がそんな会話をしている時、残りの人々は部屋にいた。


『衣月と三蔵ってただイチャついてるだけに見えたけどそうじゃなかったんだな。』

悟空が唐突に言った。

『そうみたいですね。』

そう言って八戒がお茶を啜った。

『でもよ、おかしくねぇか?黙認するって言ったのになんで呪いは続くんだ?』

独角兕が不思議そうに言った。

『あくまで、黙認するだけなんでしょうね。呪いはそのままってことなんでしょうね。そうしないといけなくなるように仕向けたのは神々だっていうのに…そ』

里白は悲しそうな顔で答えた。

『どちらかが寂しいと思ってしまえば…お互い死んじまうってことか…』

悟浄も悲しそうな様子で言った。
どんなに憎まれ口を叩いたって仲間なのだから。

『そうだと思います。だからこそ寂しくならないように相手を寂しがらせないように必死だったのかもしれませんね…』

八戒が飲んでいたお茶をそう言って飲み干した。



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