第7章 初めての友達
いつかこうなるのは分かっていた、はずだった。
ある日、寝る直前。布団に入ってまどろんでいたティアナは、
ベルの一言で一気に覚醒する。
「ティアナ、まだ起きてる?」
「…うん」
「あのさ、…ティアナはいつになったら私の前で仮面被らなく
なるの?…私に心、開いてくれるの?」
いつかは言われるだろうと思っていた。
ティアナがベルを本当に受け入れない限り、いくら優しくて
気遣いができるからと言って、いやだからこそベルが悩むのも
分かっていた、のに。
いざ言われてしまうと、こんなにも苦しかった。
「ごめんね、こんなこと言ってティアナを困らせたいわけじゃ
ないんだけど」
「……うん」
「でも私じゃダメなのかな?そんなに頼りない?
…友達には、なれない?」
「…!」
それはナイフのようにティアナの心へ突き刺さって。
なんでそう思うのかも、ティアナはもうわかっていた。
…怖い、のだ。
心を開いて、よりどころにして、信頼し合って。
そして、それを失うのが。
もう一度、あの思いを感じるのが。
怖くて怖くてたまらないから、人と関わらずに巨人への憎しみ
だけを胸にここまでやってきた。