第20章 卒業式
「学食のご飯は何を食べても美味かったなぁ」
「俺は翔ちゃんが美味しそうにもぐもぐしてるのを見るのが好きだったな」
毎日みんなでお昼ご飯を食べた学食。
「体育だけじゃなくて夏休みにはバスケ部に混ざってバスケしたりもしたっけ」
「暑かったよね…でもバスケ部員に負けない翔ちゃんカッコよかったな♡」
雅紀たちに会いに行った体育館。
「翔ちゃんと仲良くなるまでは、智と雅紀とここでお昼食べてたんだよ」
「雪が降った日には、智くんと雪うさぎたくさん作ってたよね」
いろんな目的で足を運んだ中庭。
「あの窓際の席、試験前の俺たちの指定席になってたよね」
「内緒話みたいなやり取り、いつもめちゃくちゃドキドキしてたんだよ」
試験前に勉強するために通った図書館。
「誰もいないと広く感じるね」
「静かすぎてちょっとさみしいね」
さっきまでの騒ぎが嘘みたいに静まり返った校庭。
朝礼に体育の授業に体育祭に文化祭…
日常のちっちゃなことからイベントごとまで数え切れない思い出がある場所。
屋上から見て綺麗だった桜は下から見上げても綺麗だった。
校内のどこに行っても、何を見ても、必ずそこに翔ちゃんとの思い出がある。
それがすごく嬉しくて幸せだと思う。