第20章 卒業式
「いえ、大したことはしてませんから…」
亀梨くんははにかんで謙遜してたけど、すぐにキリッと顔を引きしめた。
「でもまたすぐに違うやつらが来ますよ。誰もいない今のうちに移動した方がいいと思います」
「ああ、そうだな」
亀梨くんの忠告に、翔ちゃんも真剣な顔で頷いて。
「行ける、カズ?」
「うん」
俺が頷くと、すぐに移動を始めた。
ロッカーの陰、空き教室…と、人目を避けながら場所を移していく。
でも、いかんせん追いかけて来る人数が多くて。
しかもみんなしつこいの。
全然諦めてくれない。
それどころか俺たちを探す人数がどんどん増えてるような気さえする。
だから隠れても隠れてもすぐ見つかっちゃって。
捕まりそうになっては逃げて、また隠れて…の繰り返し。
亀梨くんは当然のように俺たちに付いてきてくれて。
先に行って人がいないか確認してくれたり、俺たちを探してるやつに遭遇した時はさっきみたいに誤情報を流してくれたりしてたんだけど。
どうしても逃げきれなくて囲まれかけた時、亀梨くんは文字通り壁になってくれて。
「ここは俺が抑えますから行ってください!」って、身を呈して俺たちを逃がしてくれた。
ほんとは亀梨くん1人残していくことに抵抗があったんだけど。
翔ちゃんにカメは上田と同じくらい強いから大丈夫だよって教えてもらって、結局甘えさせてもらった。
俺たちを助けたって亀梨くんの得になることなんて何もないのに、最後まで全力で助けてくれて本当に感謝しかない。