第7章 誕生祝い to Masaki
-Aside-
「翔ちゃん!今の見た!?イルカってすごいね!ね!」
「うんうん、すごいねぇ」
「もう///俺じゃなくてイルカを見てよ///」
右にバカップル。
「ふふ、ニノ可愛いね」
「俺には智の方が可愛いけど?」
「なっ…何言ってんの!ばかっ///」
左にもバカップル。
不運にもバカップルの間に挟まれてしまった俺と風ぽん。
俺たち可哀想じゃね?
イルカショーに集中したいのに、両側から聞こえてくる甘ったるい会話に邪魔されて。
バンバン飛んでくるハートに押しつぶされそう。
ちらりと隣を見れば風ぽんもちょっと困ったような微妙な笑顔を浮かべてる。
でも再びイルカが大きなジャンプを決めると、パッとその顔が輝いて。
歓声を上げながら満面の笑顔でパチパチ拍手を送ってる。
…………めちゃくちゃ可愛い。
ヤバいな、イルカそっちのけになる翔くんの気持ちが分かってしまう。
俺もイルカショーを見たいのに!
すげー楽しみにしてたのに!
バカップル以上に風ぽんの可愛さが俺の意識をイルカから逸らしてしまう。
「相葉ちゃん!今のジャンプすごかったねぇ!」
ちょっと興奮した様子で、無邪気に振り向いた風ぽんが堪らなく可愛くて。
この可愛い子を抱きしめたい!
無意識に手を伸ばしかけて。
途中でハッと我に返って慌てて引っ込めた。
ダメダメ!
いきなりそんなことしたら引かれちゃう!
怪しい動きをしてしまった俺に、風ぽんが怪訝そうな目を向ける。
誤魔化すように笑顔を作りながら、俺の葛藤も知らずにイチャつく左右のバカップルに文句を言いたくなった。