第8章 壁外調査
しばらくすると、一発の緑の信煙弾が左斜め前の方向に発射された。
それを確認すると、同じ方向に緑の信煙弾を放つ。
馬を走らせる向きを変え辺りを見回すと、進んだ先に巨人が一体。
通常の巨人ではあり得ないスピードでこちらに向かってくる。
「速い…!」
「兵長!あれは!」
「…あぁ、恐らく奇行種だ。」
壁外調査では、基本巨人とは戦わないかに懸かっている。
しかし、行動の読めない奇行種には戦闘が必要とされていた。そして、叩くなら早いうちに、ソフィア達の初列索敵班で仕留めるのがベストとされている。
「信煙弾は俺が打つ。お前は戦闘準備だ。」
「はい。」
「必ず仕留めろ。」
「…了解です。」
心臓がドクドクと音を立てる。
柄にもなく緊張しているみたいだ。
だが、巨人は猛烈なスピードでこちらに迫ってくる。
「…おじさん、おばさん、いってきます。」