【B-PROJECT】(完結)あなたの瞳に永遠を誓います
第68章 見えないココロ
「帝人......?」
気付かれた?
ーートンッ、
「すみません、大丈夫ですか?」
後ろの人と肩がぶつかって慌ててそちらを振り向いた。
怪我はないかな?
「こちらこそ、すみません......」
見上げたその人に、腕を掴まれる。
「あっ!ちょっと待ってくださいーー!」
走り出した背中に、帝人さんの声が聞こえた気がしたーー。
「ありがとうございます!この御恩は忘れません!!」
「ちょっと......どうしたの?その格好......」
サングラスを外したその人、竜持くんはびっくりしている。
「よく私ってわかりましたね......」
勘のいい竜持くんだから、瞬時に判断して連れて逃げてくれたんだよね。
でも、すぐに私って分かったってことだよね。
「分かるよ......分かってないと連れてきてないから。だいたい、どれだけ見てると......」
「えっ?」
「なんでもない!どうしたの?」
出来るだけ手短に話すと、納得してくれたようだ。
「天才ブランチ ♪ 」の撮影で増長さんと例の女性、姿は見えないけど北門さんがロケに来ているらしい。
今日収録予定だった食レポが急遽変更になったそうだ。
竜持くんも見学がてら観光に来ていたみたい。
「とにかく、バレないようにここから出せばいいんだね。でも、その前に着替えないといけないわけか......」
「はい!出来そうですか?」
「まぁ、やってみるしかないんじゃない?確かに......カズには見せない方がいいかもね......」
「やっぱり、似合ってないですよね!?」
「はぁ......可愛いから......」
「えっ?」
「なんでもない!行くよ!」
「はい!」
竜持くんが差し出してくれた手、それを掴むと歩き出した。
「どうせ、ミカはマミリンの近くにいるんだよね?」
「そうだと思います!ただ、更衣室とそのブースは近かった気が......」
「なまえは方向音痴だから、場所は分からないんだよね?」
「はい、ごめんなさい......」